生煮えの余白

社会科・探究学習

うまてぃー(以下、馬)「今日の作戦会議(子どもたちとプロジェクトを考える時間)、こんな流れで行こうと思うんだけど、どう思う?1時間だけでやるには詰め込みすぎな気がするし、最初の話し合いで、いきなりファシリテーターを子どもに任せちゃうの、今までやったことないなー、なかなか挑戦的だなーとは思っているんだけど。でも、あの子たちなら大丈夫かなっていう気持ちもある。」

スタッフP(以下、P)「うん、大丈夫だよ。それに失敗してもまた挑戦すればいいじゃない」

馬「うんうん、そうだよね。じゃあファシリテーター役になった子に、みんなの意見を否定したらダメだよとか伝えるために、ブレイクアウトルーム呼ぼうかな」

P「いや、その言葉じゃない気がする・・・。あの子たちには、「1人ひとりの意見を大切に」で、十分伝わると私は思うよ。あと、誰もがファシリテーター役になる可能性があるんだから、わざわざブレイクアウトルームじゃなくて、全員の前で言ったほうがよくない?」

馬「あー、確かに、そうだね。あ、もう時間になるね、よし、楽しもうね」

というような打ち合わせが、始まる直前までされていた。細かいところまで、1時間の構成を考え切れていないような、曖昧なところもだいぶ残っている生煮えのような状態で、子どもたちへのインストラクション(説明)を始めた。生煮えで少しは不安なんだけれども、この1時間で、どんなことがおこるんだろう?というワクワクした気持ちの方が圧倒的に上回っている。

「このホーム(クラス)のメンバーでやりたいことのアイデアを、この時間にたくさん出そう。ひとりでできるものでも、だれかと一緒にできるものでもOKです。ほかのホームとつながるのもOKです。学園全体になってもOK。学校飛び越えてもOK。日本を飛び越えてもOK。世界とつながってもOK、(ここで、ある子が「宇宙は?」とZOOMのチャットでコメントがきたからそれを見て)うん、宇宙もいいね!!これは無理かな、できないかなということは気にしないで、どんどん広げていくつでも出していこう!(さらに、別のある子が、「オンラインでできることじゃなくてもいい?」とチャットでコメントをくれたので)うんうん、オンラインでも、オンラインじゃなくてもいいよ!」

と、子どもたちのチャットを巻き込みながら、インストラクションが熱を帯びてくる。ある子が画面に向かって、「何だかワクワクしてきちゃったー!」って言っているのも聞こえてくる。パソコンの画面越しにでも、子どもたちの熱が伝わってきて、お、これ、結構面白いことになりそうかも、ワクワクが高まり僕の心臓の鼓動が少し早くなった。

「そして、5人グループを4つ作ろうと思うんだけど、そこに僕ら大人は入りません。みんなに任せてみたいと思います。みんなの意見を聴く人をファシリテーターというんだけど、誰かファシリテーターをしてくれる人いるかな?(4人さっと、手があがる)うん、ありがとう!それでは、ファシリテーターに大切にしてほしいことを今日は2つだけ伝えるね。他のみんなもファシリテーター役をやることがあるから、よく聞いていてね。①一人ひとりの意見を大切に。②みんなの意見をメモしよう、の2つです。最後、全体の部屋に戻ってきたら、書いたメモをみんなに共有してね。では、時間は10分です。それぞれのグループに分かれて話し合ってきてください。」

・・・10分後

「どんな話し合いだったかな?それぞれのチームで出た意見をファシリテーターが紹介してね」

と、共有の時間を始めて、ファシリテーターがチームの意見を書いたメモを画面に見せて終わるかなー、と思いきや、ファシリテーターたちが発表した後も、画面の向こうで一生懸命に手をあげている子たちがいて、その子のアイデアを聞いたら、また違う子が手をあげていて、そして、チャット上でも、これやりたいんだ、っていう子どもたちの言葉で溢れてきて。最初は全部手元のA4用紙でメモをしていたんだけど、全然追いつかなくなって、一緒にこの場にいたスタッフの記憶力とチャットのメモに頼るしか無くなるくらい、子どもたちの熱量を帯びていた。

途中でメモが追いつかなくなった・・・

みんなで思い出しながら書いたメモは、だいたいこんな感じ

「野菜育てて収穫祭」
「一人ひとりがミニティーチャーになって得意なことを共有」
「みんなで遊ぶ」
「風越ピザ」
「窯をつくる」
「ピザを作って売る」
「一から作る」
「キャンプ」
「国際交流」
「外国との交流→言葉の勉強」
「ボードゲーム、カードゲーム」
「迷路をつくる」
「みんなでパーティー」
「動物を飼ってみる」
「学園祭をやる」
「浅間山登り」
「みんなで旅行(自分たちで計画する)」
「植物を育てる」
「みんなで出かける」
「森で探索」
「リレー」
「虫を捕まえる・観察したい」
「動物を飼ってみる」
「釣り」
「外で遊ぶ」
「ドッヂボールしたい」
「多肉植物を育てたい」
「カーリングしたい」
「ホームの秘密基地つくる」
「ホーム関係なくみんなで遊びたい」
「木で何か作りたい(木の家とか)」
「育てた野菜でバーベキューしたい」
「困っている国を助けたい」
「水が少ない国に、水を送るプロジェクト」
「本を作る」
「運動会」
「学園でおにごっこ」
「自分たちで計画する、を大切にしたい」
「ホームを越えて、みんなとつながる」
「外国とzoomつなぐ(zoomで世界一周!)」
「実験する(思いっきり大胆に!)科学の実験」
「軽井沢たから探し」
「ロケットを飛ばす」
「テーマトーク」
「乗馬」
「小さい小屋をつくる」
「宝探し」
「日本の遊び、勉強を外国に紹介」
「ホームのバッジやオリジナルグッズをつくる」

今日も、ギリギリまで、どうしたらいいかなーと悩んだ。で、ちょっと生煮えな感じで子どもたちに提案してみると、僕らがびっくりするぐらい、いろんな味付けしたり、混ぜたり、材料を加えてくれたりして、気づいたら美味しくなってた。

生煮えという余白があることの良さ。

子どもってすごいや。

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