スパイダー討論をして思ったこと

社会科・探究学習

前回の記事で、社会科の授業で、スパイダー討論をやってみると書いてからしばらく時間が過ぎてしまいました・・・。

先日、社会科の授業で「なぜ戦争が起こるのか。どのようにすれば戦争を防ぐことができるのか。」というテーマで、スパイダー討論をしました。教えているクラスが、38〜40人在籍しているので、クラスを半分に分けて実施しました。残った半分はルーブリックを見ながらスパイダー討論の様子を評価するという役割にしました。

このクラスの初回は16名で実施。討論の時間は25分間でした。

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私が書籍を見ながら作成したルーブリックの最初に「平等」という項目があります。全員が平等に話す機会を設けることが大事だという話をかなり事前に強調しました。そうしたら、当たり前ですが、まず起こったことが、「とりあえず時計回りに意見を2回言おう」ということです。その後は、かなり主張をする4人を中心に話し合いが進んでいきました。

そして、上の図を見て、こんなやりとりがありました。

生徒「4人に発言する人が集中してしまっているのは、話し合いをしながら気づいていたけど、みんなが平等に話し合いに参加できていたからいいよね〜」「うんうん、だから評価はAマイナスくらいかなぁ」

私「でも、今回のテーマの話し合いって深まったのかなぁ?平等に意見を言えたらそれでOK?他の評価の項目は、クリアできたのかな?なぜ戦争が起こるのか、どうすれば防げるのか、ということの理解は、この話し合いやる前とやった後で深まったのかなぁ」

生徒「確かに、平等に意見を言おうということに必死だったなぁ・・・。じゃぁ、Bくらいかなぁ」

さて、このクラスの2回目には、観察者と討論者を変えてみたものの、「とりあえず時計周りに2回発言する」という、まずは発散からするという作戦になりました。この回は、単純に参加者が22名で、25分という時間が厳しかったから、慌てていて、「平等」という項目を達成するために取り組んでいたようでした。

次は、このクラスの3回目。この回は社会科ではなく、道徳の授業で行いました。

前日にSDGs2030というカードゲームを授業でしていたので、そのゲームを通して、ある生徒が持った問いがテーマでした。

「他人を助けるためには、どこまで自分を犠牲にすることができるのか」です。

当日は、36名いたので、クラスを3つに分けて10名討論、それぞれのチームの外からスパイダーの図を書いたり、コメントを書く観察者を2名ずつにしました。

ルーブリックは、少し改良して、「関連」という項目を作りました。(上から3番目)

そして、前回の話し合いの反省を生かして、ここの部分を意識していこうと伝えました。

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25分の話し合いと、5分のチームでのふりかえり、5分の個人ふりかえりという時間設定でした。

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この写真の図を書いた生徒は、

「☆・・・全体に話しかけた」「♪・・・流れを変える発言をした」という新しい記号を生み出していたのが特徴的でした。

6名の観察者の生徒たちが書いていたスパイダーの図は、どちらかというとポジティブ・フィードバックが多く、他の生徒の発言を邪魔している生徒がいるにも関わらず、あまりそのメモはとっていませんでした。そして、チームでのふりかえりでも、他の生徒の発言を邪魔していることへのコメントは全くありません。他の生徒の発言を邪魔していることを自覚している様子もありませんでした。

以下、生徒たちが書いたふりかえりの一部です。

・チームの雰囲気もよく、積極的に発言できていたが、積極的すぎて、一つのテーマを深められなかった感じもする。○○くんの気付きがよく、流れを変えたり視点の違う意見がとても貴重だと感じた。

・相手の意見の待って聞くことができたこと。発言が少ない人に話しをふって、うながすことができた。あいづちをたくさんうって、肯定することができた。

・一人ひとり意見を聞けて、なおかつ主張など積極的に述べることができた。この間より成長できた!

・途中までうまくいっていたけど、やっぱり男女でわかれてしまっていたので、席を男女交互にした方がいいかもなって思いました。

・沈黙が多かった気がする。

・自分が話しやすい課題だった。課題によって、話せるかが決まると思った。

自分のクラスの特徴として、よく参観者の方からも指摘していただけるのが、「中学校3年生とは思えないほど生徒たちの関係性が良い」ということです。担任として、朝のサークル対話や、朝の班トークなどで意識してきたので、嬉しく思います。

ただ、クラスの関係性が良いことで、議論が深まらないなぁと感じる部分が、今回のスパイダー討論にはありました。いまの良い関係性を維持していこうという目的からか、相手を認めることや、肯定をすることの発言が多いのです。もちろん、安心なクラスの雰囲気づくりには、相手を認めることは大切です。ただ、もう少し厳しいフィードバックもありでは?と感じました。他人の発言をさえぎってしまった人は、自分がさえぎってしまったことに気づいていないので、その点を指摘してあげるということが、本当に仲の良い関係性だと思います。

他に、授業者として失敗したなぁと思うことがあります。今回の3つのスパイダーをするグループを子どもたちに自由に作ってもらったので、わりと仲良しで組まれていました。せっかく多様な生徒がいるのに、似た者同士でグループを作ってしまったことです。ただ、このクラスの場合、例え仲良しをバラバラにしたとしても同じように深まらないこともありえます。あとは、この実践は、ふりかえりが本当に大切だということ。5分というチームのふりかえりの時間は、生徒に決めてもらったのですが、ここはもっと時間をとるように最初から設定した方が良かったです。生徒たちは、結構簡単に「A!」って自己評価をしてしまうので、「本当にそういえるのかな?」と伝えるのがより生徒の学びを促進する教師の役割だと思います。そこが、甘かった。

では、次の手としては、何が必要か?

それは、相手を認めていくような安心を感じる土台づくりは、少しずつクラスの中で、できているので、次に進もう、と伝えることです。そこは良くないなぁと思ったところや、改善案をお互いに率直に言うことが、成長につながっていくということを実感することなのかなぁ。

また、生徒のふりかえりにあるように「沈黙が多いことイコール、ダメなこと」という感想もありました。『最高の授業』に書いてあったように、考える時間をじっくり持って「質の良い発言」をすることも、もっと練習していきたいものです。

あとは、単純に私自身の子どもたちをファシリテートしていくための「問う力」も、まだまだだなぁ。

さてさて、3月まで、コツコツ続けてみたら生徒がどう成長していくのかが楽しみです。

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