2020年度の社会科としての歩み(前編)

社会科・探究学習
トップの画像:自分らしい「色」や「音」ってなんだろう?と考えながら描いた絵です。

この1年間でいろいろなことをやってきたのだけれども、「社会科」のスタッフとしてうまくいったこともいかなかったことも、自分のために記録を残しておこうと思います。

学校のカリキュラムの中心となっているテーマプロジェクトの時間に、社会科として学んでほしいことは入れていこうと、考えていました。いま思えば、網羅主義を手放し、何を学んでほしいと僕が考えているかを、他のスタッフにきちんと整理して発信はすることを十分にできていなかったと思います。それぞれのチームでテーマプロジェクトを設計する段階で「どんな社会科の要素を入れたらいいんだ?」と、戸惑いも多くありました。いまは、「こう進めていけばいいのかも」という手応えを感じつつあるのですが、そこにいたったプロセスを順に振り返っていきます。

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歴史のレポート(7月〜8月)6、7年生対象

2020年度は最初はオンラインの日々が続き、子どもたちが学校にやっと来られるようになったときはとても嬉しかったです。いつかまたオンライン登校しかできなくなったときに、オンラインでも個人で学びを続けられるようにとレポート形式で、社会科を進めていこうとしました。登校ができて、子どもたちは自分たちのやりたいことを目一杯したいだろうから、教室に全員で集まって社会科という枠での授業は開講しない、ということは僕は決めていました。

レポートについて、いつでも相談できるような時間は設けていたので、実際に参加をしてレポートに取り組むか、Googleクラスルームに載せたミニレッスンをみながらレポートに取り組む方法かを選んでもらうことにしました。課題の提出期限もあり、週1回くらいは教室に来て課題の進捗状況を共有して進めるができると思っていましたが、実際は、一部の歴史が好きな子や、自分で調べるというスキルを持っている数名の子がどんどん進めていきましたが、それ以外の多くの子たちは教科書やインターネットの資料などを写して課題提出するということになってしまいました。

自作のスライドや、関係するyoutubeのリンクなどの資料、そして興味のある子向けの発展課題をGoogleクラスルームに残しておきました。

いま、思えばとても当たり前のことで、恥ずかしいぐらいなのですが、このときにちゃんと時間をとって「調べるってどうすればいいの?」「レポートでまとめるってどういうこと?」など、何をどう進めていけばいいのかという一人ひとりに応じた丁寧なレクチャーを進めていけばよかったです。また、学校にいられるからこそ、いろいろな仲間と刺激し合いながら社会科を学ぶことの面白さを感じられる授業設計にしたかったなぁという、反省ばかりの実践でした。

テアトルかざこし(10月〜12月)3〜7年生対象

レポートの課題を出していたときの反省から、次に考えたのは、「どのように子どもたちを社会科の世界に出会わせたらいいだろうか?」「どのように仲間と一緒に学んでいくことの楽しさを感じる場を作ることができるだろうか?」ということです。そこで、食品ロス問題や農業についての社会課題を扱った映像資料を子どもたちと何回か連続でみて対話をする場を設けました。こちらの授業には参加してもいいし、参加しなくてもいいし、それは子どもたちが選択できるようにしていました。

映像を見ながら、Chromebookやノートに疑問に思ったことや気づいたことをメモしていく。
映像を見ながら子どもたちが思ったことを、シェアする。そこから学んでみたい「問い」をつくっていく

映像資料をみて、ただ考えたことや疑問に思ったことを対話して、そこからもっと知りたいことが出てきてほいいと願っていた授業です。この取り組みに興味があった事務局スタッフと、一緒に毎回の場づくりをして継続的に来たのは5〜6名でした。この授業からこのあと述べる「スタートアップJr.アワード2020」というプレゼンテーション大会での個人プロジェクトにつながっていった人たちもいました。情報を受け取る時間だけの時間になっていたかもしれないとも感じていたけれども「アメリカ産の肉が安い理由は、わかったんだけど、でも国産は高いんだよなぁ、、、。難しいなぁ」「ツルヤでは、ニュージーランド産の、牛は、どう育てられてるか気になるなー。」などの子どもの声から、もっとここ知りたいんだよ、気になる、という学びの種は生まれていることに気づきました。ただ、その種が育っていくいための、丁寧な関わりをここでも十分にできていなかったのでした・・・。

Google Earthで世界旅行(10月)3〜7年生対象

同様に、「どのように子どもたちを社会科の世界に出会わせたらいいだろうか?」「どのように仲間と一緒に学んでいくことの楽しさを感じる場を作ることができるだろうか?」ということで、同時期に開催していた授業です。Google Earthを久しぶりに触ってみたり、Sensei with Google Earthというコミュニティのセミナーに参加して、様々な機能が進化していることがわかりました。いろいろなテーマプロジェクトや個人プロジェクトを進めていく過程での調査活動やまとめにMAPの機能を使うことや、頻繁にコンテンツが更新されるVoyagerの機能を使って自分たちで地球上の様々な場所にGoogle Earthで旅をすることを期待していました。また、このコンテンツを使うことで、地理的分野の「世界と日本の地域構成」の学習も進めることができたらいいと計画しました。

緯度や経度のミニレッスンをした後に、子どもたちに提示した課題。Googleクラスルームでスライドはいつでもみられるようにしました。

この授業も選択制。学んだことを活かして、Google Earthで自分がやってみたいことや探究したいことを調べたり、まとめたりと、学びの補助に使っていく子も出てきました。Google Earthだけを取り出して学ぶというよりも、いろいろなところで補助的に使うことできるようになると、とても役に立つツールだと思います。

子どもたちが調べた「あこがれの観光スポット」Googleスライドの共同編集で、いろんな人が選んだ地点を知ることができます。

スタートアップJr.アワード2020(9月〜3月)3〜7年生対象

「テアトルかざこし」で映像資料をみて食品ロスに興味をもったメンバー3人が、スタートアップJr.アワードの大会に出場することを決めて、プレゼンをつくるようになりました。単にプレゼンをすることだけを目標にするのではなく、実際に調査にいったり、行動したり、このプレゼンが通過点になるようなものにしたいね、と子どもたち一緒にこのチームに伴走していたスタッフとは話していました。

学校の玄関に置かれた子ども作の食品・生ゴミ回収BOX。ここで集めたものを元に肥料を実際に作った。

保護者の皆さんに協力していただきながら、地域のお店に調査やインタビューにいったり、生ゴミを集めて肥料をつくったり、実際にオリジナルドッグフードをつくってみたりと、いろいろな試行錯誤や実社会とつながりも生まれました。子どもたち3人や僕たちスタッフにとっても、とても充実時間を過ごすことができた。結果的には、3人とも決勝戦まで残り、入賞することができました。ただ、そこでゴールではなく、今でもそれぞれの取り組みを継続していたり、さらに地域を巻き込んだ新たなイベントも企画しようとしています。3人の興味関心に応じてどうやって学びを進んでいけばいいのかを、一緒に悩みながら歩んでいったので、僕にとっても子どもたちの姿からたくさん学び、貴重な経験をさせてもらった時間でした。

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