PBLとSDGs②放任には、なっていないの?

社会科・探究学習

(1)6時間目 企画書づくり4コマ目(面談ラスト)

①本時の流れ

あと数人残っている生徒の面談をする。

②授業者のふりかえり

5組のKさんの探究課題について、いろいろ話をした。
彼女のプロジェクトテーマは、「経済学から効果的な勉強方法の要素を考えられるか」ということ。Kは、勉強以外にもやりたいことがたくさんあって、好奇心旺盛な学級委員。ただ、勉強をしっかりやっていないと、親にすごく叱られるということで、親に叱られないように、どうやって効率よく効果的に勉強をするかが最近の悩み。

前回の条例づくりプロジェクトでは、「どのように仕事を休める環境を作るか?」ということをテーマに取り組んでいたでの、その対となるような、「どのように仕事をするか?」ということをテーマにしてみたいと面談では言っていた。

そこで彼女が、取り上げたのは、「経済学」だった。
この視点は思いつかないなぁ。
どうして、経済学なの?って聞いたら、
「社会の授業で、資本主義というものが、効率などを大切にしていると教わった。そこで、資本主義の経済学を勉強すれば、自分の勉強方法に活かせる要素や方法を見いだせるのではないかな、と思って」ということだった。そして、今日は、池上彰森永卓郎の本を図書室で読んで、ノートにまとめていた。
もしかしたら、「経営学」っていうのも、そういうことを考えるヒントになるかもよー、と伝えた。

のちに、彼女には、こんな本と動画をアドバイス

眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話

眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話

 

www2.nhk.or.jp

(2)7時間目 どんどんプロジェクト進める1コマ目(情報収集)

①授業の流れ 情報収集をしている生徒を見るためひたすらウロウロ

②授業者のふりかえり

5組 Hさんの探究の進み具合が面白い。

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この子は、哲学的なことを考えるのが大好き。前回の条例作りの時にはLGBTに関連して、「平等とは?」ということを考えていた。今回は、「なぜ評価があるのか?」「頭が良いということは、色々な判断基準があるのに、なぜ学校は上下をつけようとするのか?」など。その前の平和プロジェクトでは、「平和とは?」ということをテーマに、美術的な作品を作っていた。

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ただ、私が思うのは本人が得意としているやりたいことだけではなく、他の分野のプロジェクトをやることにも意味があるかなぁ。どの分野も満遍なく。それが子どもたちの様々な資質・能力を伸ばすことに繋がる。子どもたちがそんなにやりたいことではないかもだけど、うっかりやってみたら面白かった!っていう経験は大事なんだと思うんだけど、そこのところの考えは、まだまだ煮詰まっていない。

これは、今後の課題だ。

Yも面白い。
この子は自分のクラスの残飯が多すぎることで、
「毎日クラスの残飯を0にして、その写真を撮影して、カレンダーにして、給食センターに送りたい」と言っていた。ただ、技術の授業で、「牛や豚の肉を食べることは、環境破壊に繋がる」ということを学んだらしく。
「給食で、牛肉や豚肉を残してしまったら、給食は余ることになるし、作ってくれた人たちに悪いし、困ったなぁ。矛盾するなぁ」と頭を抱えていた。どういう結論を出したんだろう?

教室(2階)、図書室(3階)、PC室(1階)に別れて、それぞれ好きな所に言って学んでいる。だから、誰が何をやっているのか、毎回はわからない。
1時間に8人くらいと話せればいいかなぁと。研究ノートのようなものを書いている人もいるし、書いていない人もいる。
ちょっと不安を感じつつ。
なぜ、不安か?
子どもに任せるということで、放任になっていないか?
そこを問われた時に、「放任にはなっていない!」と自信を持って言えない気もする。

(3)8時間目どんどんプロジェクト進める2コマ目(情報収集)

①授業の流れ ミニレッスン→ウロウロの続き

<ミニレッスン>プロジェクトノートの導入
・「メモ(参考文献やURLを含む)」、「新しい疑問や問い」「次やること」
という項目をA4一枚に書いた紙を全員に配布した。

・どういう進捗状況かということを知りたいというものありつつ、子供達自身が、自分の調べたことや疑問を記録していってほしい。
・頭の中にでてきて思いつきたことは、すぐに忘れてしまうから、それを記録してほしい。

・記録すると、記録しておいてよかったなぁ、メモしておいてよかったなぁ、と思うことがある。ということをしっかり練習してほしいので、始めた。
・提出は求めない。(毎日120人見るのは、大変)

・子どもたちに聞いたら、自分のノートをなどにすでにメモしているから、この紙を使わない人3分の1くらいいた。だいたい使用している人は、クラスの3分の1くらいかな。残りの3分の1は??

②授業者のふりかえり

子どもたちのプロジェクトノートに書いてあることを見ながら、何人くらい見て回れるか、チャレンジ。自分の記録としては、スマホの写真と、ほぼ日手帳(カズン)へのメモのみ。 以下に、手帳にメモしたことを文字に書き起こしてみる。
・MとT・・・ほとんど学校に来なかったりする二人。まずは、興味を喚起しようと、Mに興味のあるメイクの話から探究のテーマを考えさせる。勢いよくPC室にいったけれども、「どうやって調べたらいいか、わかんない」と、ちょっと元気なく帰ってきた。次は、タブレットの使い方や調べ方のレクチャーか。
・H・・・人生ゲームの紙幣を作っている。いつの間にかPC技術を身につけていた。

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・S・・・体に身につけて発電する充電器を調べて、その構造を理科の勉強と繋げていた
・T・・・青年海外協力隊の経験がある他校の先生にFAXを送って連絡を取ろうとしている。

この時間に、じっくり見れたのは4人だった。

次の時間

先日 お会いした台所研究科の方の話とスーダンの話を10分ほど紹介、その後各自の活動(食糧問題について扱うプロジェクトの生徒がいたので、そのためのミニレッスン)

K ・・・今週末の3連休で、吉祥寺のフェアトレード店に取材に行くことを決めて、ひたすらに質問することを考えていた。
M ・・・アムネスティー・インターナショナルに送るメールを執筆。ワードを初めて使うようだ。
C ・・・ずっとインフルエンザで休んでいたために、企画書ミーティング。畑作りをしてみたいとのこと。どこまでできるか

じっくり見れたのは、3人だった。

どこかで、中間発表会を設定しよう。
そうしないと、なんだかゆるゆるーな空気のまま、なんとなく終わる生徒がいそう。

③ふりかえりのふりかえり

私の中での、「じっくり」とはどういうことか?

それは、いま何やっているのかや、プロジェクトをすすめるにあたって、困っていることを聞いて、その困っていることを解決するためには、どうしたらいいんだろうね?と考えてもらったり、一緒に考えたり、そういうことができたら「じっくり」

ただ、生徒によって必要とする手助けは違うのだから、生徒によって一人一人に意味のある「じっくり」って違うのだと思う。ある生徒にとっては、たくさん話しかけてもらいたいかもしれないし、また生徒にとっては、話しかけてもらいたくないって場合もある。

子どもとの個別の相談のタイミングや方法は、その子に合わせたものを考えていこう。でも、それでは時間的な限界があるので、子どもを自立した学習者にするために、子ども達がじぶんでじぶんの学びをコントロールできるルーブリックのような何かが必要かなぁ。

(4)9時間目どんどんプロジェクト進める3コマ目(情報収集)

①授業の流れ ミニレッスン→ひらすらウロウロ

<ミニレッスンの内容>クリアファイル、スケジュールの確認、提出方法

②授業者のふりかえり

今日は変えたことは3つある。
1つ目、全員にクリアファイルを一枚渡したこと
子ども達にすでに社会科ファイルということで、黄色いプラスチック製のファイルを1年生の時に配っているので、そこに「プロジェクトノート」のプリントやPBL企画書を挟んで置いてねー!といったものの、いまいち活用してくれない。これは、1年の頃から色々なプリントが保存されているから携帯性にかけるのも一つかな、と思い、クリアファイルを希望する人〜って聞いたら、みんな手を挙げたので、それを配布することにした。このクリアファイルだと、図書室にいくときも、PC室にいくときも、子どもたちは、ファイルを持って移動する。しかも透明だから、PBL企画書も見やすいし、子供達も次に何をやるのか見やすいのかもしれない。私も、うろうろ歩いているときに、さっと手にとって、彼らが何をやっているのか、見やすい。

2つ目、今後のスケジュールを提示して、「中間発表」「本発表」の日程を知らせた。
ひとまずの締め切りを設けて取り組んだ方が、人は一所懸命取り組むはず。
中間発表は、グループで一人2〜3分の発表をして、メンバーから付箋でフィードバック。本発表は一週間ほど期間をとって、好きな時に好きなスタイルで発表するようにした。必ずしも全員発表できないかもしれない。別に、これで探究が終わるわけではない。中学校終わった後も、取り組んでくれたらいいなぁ。

3つ目、最後の提出物
一人ひとりに渡したクリアファイルの中身を見てもらいながら、今度作成するルーブリックを使ってポートフォリオ評価をしていくことにする。先生が評価をするのではなく、自分自身で自分を評価し、この後も、学び続ける人になってもらいたいから。

今日面白かったエピソードは、6組のM。(1年の時は担任だった)
フェアトレードについて調べたいということで、僕が大学院時代にお世話になったフェアトレードの専門家を紹介してほしいということで、Facebookを通じて、連絡を久しぶりにとったら、快くマナミと連絡を取り合って、色々なインタビューに答えてくれることになった。熊本まで飛行機で飛んで、フィールドワークした日々を思い出した。

lovelandkuma.wixsite.com

僕がお世話になったのは12年も前なのに、いまだに覚えていてくださって、中3の生徒にも快く対応してくださることに、本当にありがたいなぁと思って、暖かい気持ちになりました。どんな取材をして来るのか、楽しみだ!

この連休中に、

「子どもの学びをどうカンファランスしていくか?」という問いを持って、仲間達と色々学んでいたら、日本PBL研究所が出している冊子に行き当たった。

(現在注文中)

pbl-japan.com

仲間が持っていた冊子をパラパラみていたら、

「子どもが自分の学びを自分でコントロールするためのリスト」を作っていく必要がやはりあるなあと感じた。とりあえず、連休明けにはこれを作って子どもに提示するところから始める。もちろん、リスト?ルーブリック?は、子どもたちのアイデアや考える余地があるようにする。

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