初任者の先生に本を紹介するとしたら

メモ

という、タイトルで書き出してみたものの、どの初任者にも合うベストな本は無いと思うので紹介しづらい・・・。その人のことを知っているなら「これがいいかも・・・。」くらいは、かろうじて言えます(たぶん)。でも、他人ではなく1年目の僕自身にだったら、紹介できる本はある。

うまてぃー
うまてぃー

ということで「初任者だった僕に本を紹介するとしたら」を書いてみることにします。

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初任者担当の先生からのアドバイス

「長い教員人生で1年目は、たった1度しかない。仕事について感じたことや、違和感でも何でもいい。それを、ぜ〜〜〜〜ったい書いて残しておいたほうがいいぞ〜。」

と、4月に僕は初任者担当の先生に言われました。振り返り(リフレクション)や、体験から学ぶこと、が大切ということは、1年目の僕は知る由もありません。当時、「日誌」を書いていました。そこに書いてあるのは、生活面のことばかりで、「12時を過ぎて寝たから今日はいまいち気分が乗らなかった」とか「ラーメンの大盛りで幸せになったが、次の日胃もたれした」とか(汗)何か学校のことは、書いてないかな?とパラパラページをめくってみると、「クラスがうまくいかなくて、落ち込んだ」くらいの簡潔すぎる記述が続く。「何が起こって、どううまくいかなかったのか?」が後から読んでも全然思い出せない。そして、そのうまくいかなさを、どう自分が乗り越えていったかもよくわからない・・・。初任者担当の先生のアドバイスを全然聞いてないことに、我ながらびっくりします。じゃあ、どんなイメージで1年目の記録を書けばいいんだろう?

1冊目:日々のふりかえりの書き方

そこで、1冊目に紹介するのは、岩瀬直樹/中川綾『みんなのきょうしつ』です。

この本には、とある小学校の子どもたちと先生の「ものがたり」が書かれています。「ものがたり」は、岩淵先生と中谷先生という2人の先生の日々の振り返りのやりとりで進んでいきます。感動したことや、悩んだこと、失敗してしまったことも岩淵先生は正直に書いています。その場面での岩淵先生の思考の道筋や教室の風景が見えるような書き方をしています。こういう書き方で1年目の記録を残しておくと、自分の成長にいろいろつながっていきます。

ただ、こういう記録を1人で日々書き続けるのって、相当しんどいです。だからこそ、中谷先生のように、問いかけてくれる存在は、とってもありがたい。そうやって振り返りを一緒にしてくれる人を学内でも学外でもいいから、みつけるといいな。別に文章のやりとりじゃなくて、放課後にちょっとしたおしゃべりでもいいと思います。「ちょっと悩みを聞いてもらってもいいですか?」「ん、どうしたの?」「実はクラスがうまくいかなくて・・・」というような感じで。

2冊目:学級通信の書き方

1年目で、保護者にとっても、どこの馬の骨か分からない僕。その当時は保護者に信頼してもらいたい一心で、学級通信を出し続けていました(1年で161号)。今となっては、自分の実践記録として貴重な資料なのですが、改めて読むと、恥ずかしいほど暑苦しいことがたくさん書いてあります。内容の比率は、「クラスや子どもの様子を伝える」が2割に対して、「自分の思いを語る」が8割です。子どもの書いた作文や、日記のコメントをたくさん載せることで、子どもの様子が分かるように書いているつもりでした。でも、もっと子どものことや教室で起こったドラマを僕なりにみとって書いた方がよかったと思います。そうすることで、子どものことをよくみるようになり、それが学級経営や授業づくりに、もっと活かされるからです。

そこで2冊目に紹介するのは、石川晋『新版学級通信を出しつづけるための10のコツと50のネタ』です。

この本では、学級通信のノウハウも書かれているけれども、一番ビビッと来たのは石川晋さんの子どもへの眼差しです。「誕生日通信の実践」や、何気なく載せられている写真から、眼差しの暖かさを感じるのです。1人ひとりの子のことをみようとしているのが分かるのです。(合わせて『わたしたちの「撮る教室」』や『学校でしなやかに生きるということ』も一緒に読むと、より一層。)本当によくみていないと子どものことは書けません。僕は子どもの作文やコメントを読んで、子どものことを分かった気持ちになっていました。でも、そう簡単に分かるものではないです。なんであの子はそういうことをしているんだろう?って子どもを観察して考えたり、子どもとおしゃべりしたり、同じ場面を他の同僚とも話したり、の積み重ねが圧倒的に大事です。中学校で教科担任だし、1人ひとりの子どもと過ごす時間は短い。だから、子どもをちゃんと知るのはなかなか無理あるよね、ってどこかで思っていなかったかなぁ。あと、僕は授業準備に余裕がなく、休み時間に早めに次のクラスに行き、あらかじめ板書をすることを優先していました。子どもが話しかけてきても、「ちょっと授業の準備が忙しいからあとでね」って。(そして、その「あとで」は2度とこない。)こんな休み時間の過ごし方で、失われたこともたくさんあったなぁと思います。

3冊目:子どもとのかかわり方

そんな僕なのに、子どもとのコミュニケーションをとることは結構得意!と勝手に思っていました。だから、僕には、3冊目には、西村佳哲『かかわり方のまなび方』を読んでもらいたい。

人が人にかかわる、ということ。他の人がかかわることで、本人だけでは果たせないことが可能になったり、先に進めたり。あの人といると伸びるとか、人の力を引き出すのが上手いと言われる人たちがいるけど、彼らはいったい何をしているんだろう?

西村佳哲『かかわり方の学び方』の「まえがきの前に」より

1年目の僕は、コミュニケーションとは「笑顔で、元気に、たくさん子どもたちを褒めること。」で、それができていればOKと思っていました。でも、教師が子どもとかかわるって、もっと何か違うものです。引用した「まえがきの前に」に書かれているようなことができたらいいなと思います。例えば、休み時間に板書を優先するっていうことは、「授業の準備の方が子どもとかかわるより大事なんだ!」っていう無言のメッセージを出していることになります。そんなメッセージを出しておいて、子どもたちの力を引出そうというのは無理がある。僕が出会ってきた素敵な管理職の先生たちは、どんなに忙しくても、話を聞くときには、パソコンのキーボードから手を離し、画面から目を話して、こっちを向いてくれました。そして、いっぱい話を聴いてくれた。それだけで、「よ〜し、前に進もう」とか、「めげずに頑張ろう」って思えた。話を聴くというだけでも、人に力を与える(もしくは、引き出す)ことができる。そういうことを、この本を読んでいれば気づくかもしれません。そうやって聴くことを大切にして、子どもとコミュニケーション取り日々の記録を書いていってくれるといいなぁ。

1年目の僕は上手い下手は別にして何かいろいろな記録を書いていた。それを改めて今読んでも、新しい気づきがあります。1度しかない初任者のときの子どもたちとの関わりを記録することは後々効いてきます。ただのノウハウ本100冊読むよりも。

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