人の力を信じて待つ、というあり方で聴き合う

かかわり方

ブログの「プロフィール」にも書きましたが、「信じて、待つ」ということは、10年くらい前から大事にしている言葉です。そのことを書いた記事が、学校のホームページに公開されたので、僕の記録用に載せておきます。

うまてぃー
うまてぃー

その記事には文字数の関係上書けなかった、「ミニ・カウンセリング」の研修を受けて考えたことについてを、このブログの後半部分に追記します。

スポンサーリンク

信じて、待つ?

今のところ僕にとってファシリテーターとは、「人」の力を信じて待てる人のことです。あり方もやり方もどっちも大事だけど、僕自身はあり方に寄っています。

2010年8月7日に、とある勉強会の合宿で初めてゴリさん(岩瀬)と会いました。教師にはファシリテーターという役割があるということを教わったその日の夜、自分の学級経営がうまくいかなくて、子どもたちとの関わりかたを後悔しているということを相談させてもらいました。そのときのアドバイスがメモで残っています。

「うまっちは、子どもたちのことを信じていないんだよ。信じて待つことが大事だと思うなぁ。その子が気づかなくてもOK。先生が教えようと思うと待てなくなる。その子は、必ず自分で答えを出せるんだ、という信頼のもとひたすらに観察する。待つとは、受動的なものではなく、ものすごい積極的で能動的なもの。」

このときから「ファシリテーターってなんだ?」って考えるようになりました。
教師なのに、「教えようと思わないってなんだ?」と最初は疑問でした。
でも、良かれと思って教え与えつづけることが、その子どもの持っている力を奪っているのかもしれないと思う出来事がありました。そして、自分たちで学ぶ力があると信じて待つことが、その子どもの幸せにつながっていくと思うようになりました。

ファシリテーターとして関わる機会が1度だけしかない研修のような場であっても、担任学級のように1年続くような場であっても、どちらにも共通しているのは、ずっとその「人」と一緒にいられないということです。僕は、ファシリテーターとして関わったことで、その人自身がもうすでに持っている力を引き出せたらいいなぁと思っています。そして、その人が、自分の力を信じて自分らしく生きることで、幸せを感じて生きていってもらいたいなぁと思います。

そう考えると、僕にとってファシリテーターとは、人が自分らしく幸せに生きていくために関わる人、とも言えるような気がします。

では、開校したら、どんなことを試してみたいか。

それは、担当する子どもたちの学年や、ホーム、それぞれの立場など関係なく、スタッフがお互いのチャレンジを後押しできる場を継続してつくっていくことです。具体的には、授業のことや子どもの姿を話しながら、そのスタッフの「〜したい」が引き出されたり、後押しされるような場づくりです。そういう場は、日々のちょっとしたやりとりを工夫していけばできるのでは、と思っています。例えば、放課後の15分くらいで、2人くらい集まって「今持っている互いの悩みや問いについて聞き合う」「今日書いたふりかえりを読み合って、書いてあることに質問してみる」など。

今までやったことのないチャレンジをたくさんするから、子どもが来たらこの1年間経験してきたことよりも、遥かに悩むだろうし考えると思います。日々のその悩みの中には、それぞれのスタッフの「〜したい」が込められていたり、それぞれの子どもの「〜したい」が込められたりしています。人の力を信じて待つというあり方で、聞き合う。そんなことを大切にしながら、それぞれの「〜したい」をちょっとずつ後押しできるような日々にしていきたいと思っています。

最近、ファシリテーターってなんだろう?を考えるようになったのは、同僚とのいくつかの研修がきっかけでした。その1つの研修については、こちらの記事を参照してみてください。ここにリンクが貼られている仲間の記事も含めて、とても好きな記事です。

ミニ・カウンセリング

記事後半の、〈例えば、放課後の15分くらいで、2人くらい集まって「今持っている互いの悩みや問いについて聞き合う」〉の部分は、今年の1〜2月に研修をした「ミニ・カウンセリング」の影響を受けてます。

「ミニ・カウンセリング」とは、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースの「パーソン・センタード・アプローチ」を基本にしたものです。(教員採用試験では、クライエント中心療法、って覚えていたような気がするけど、最近はこのようにも言うらしい)

カウンセラーとして、自分は聴けているか?をトレーニングするために使われている手法で、大事なポイントは、「話し手自身が話す力がある」ということを信じて聴くことだそうです。「聴く」ということ、僕は結構苦手。同僚が「聴くトレーニングをするなら、ミニ・カウンセリングがすごく効果的だ」と何人も言っていたので、そのエッセンスをちょっとでも吸収したい!と思いながら研修に取り組んでいました。今回やった進め方は、以下の通りです。

進め方

(1)15分ずつの録音
  1. 話し手と聴き手で、2人1組になる
  2. 話し手の話を、聴き手は15分間聴く。録音しておく(スマホなら機内モードがいい)
  3. 話す内容は、話し手の自由。(あなたの15分だから何でも話していいよという丁寧なインストラクション)
  4. 話し手と聴き手の役割を交代して、もう15分やる。

聴くときに、注意して聴くポイントが2つありました。

①時制(例)土日、ちっちゃい頃、未来など

②感情・感覚・場所・存在 ※場所は、感覚的なもの「あっち」とか。

なぜ、この2つに注目するのか?

人は、思考をするときに過去のことを話すことが多いそうです。でも、聴き手は、今のその人の感覚を聴きたい。今の感情や感覚などを聴くと、話し手自身が話し手の今にフォーカスしやすくなっていくようになります。このあたりの言葉が出てきたら、聴き手はその言葉を聴き返したり、なるべくその人の言葉を使って応答したり、はたまた自分の心の中でそれを呟いてみる。そうすると、「聴く」ができるようになっていく。そんなアドバイスをもらってはいたけど、全然できていなかったなぁ・・・。ついつい、自分が聴きたいことを聴いてしまったり、興味なさそうに「へ〜〜」と呟いていたり、「うんうん」と、とりあえず頷いていたり・・・。うーん、練習あるのみです。

(2)文字起こし(2〜3時間くらいかかった)
  • 自分が聴き手として聴いた録音データを一言一句文字起こしする。
  • 「ふぅー(ため息)」とか「沈黙(30秒)」「あははははは(笑)」とかも全て文字起こしする。
  • 文字起こしのドキュメントには、行数があると後で便利。
(3)検討会(約1時間)
  • 聴き手は、原稿を参加者分印刷しておく。
  • まずは録音した15分を参加者で聴く。
  • どんな15分だったか、聴き手→話し手の順に聴く
  • その後、自由にやりとりをする。ここの場面、どんなこと考えていたのー?とか。
  • 最後に話し手&聴き手からのふりかえり

※検討会では、みんなで原稿を読み合ってコメントを書いたり、話し手のロールプレイもするのもあり。

橋本久仁彦さんや、青木将幸さんの研修もいつか受けてみたい。

そして、僕の現在地

1対1で話すときに、学んだことを活かして聴くことをたまに試しています。(複数人でも達人レベルになればできるのだろうか?)慣れていないのもあり、かなりのエネルギーを使うので、聴き終わったあとに、どっと疲れてしまいます。

ただ、この手法のすごいなぁと思うところは、「聴き手が、話し手の持っている今の感覚や感情に寄り添っていくと、話し手自身が、自分の持っているエネルギー(〜したい。want)に気づくことができる」というところ。プライバシーの関係もあるので、詳しくは書けませんが、実際に研修中にも、そういうことを感じる場面がありました。

どんな人にも、「よくなりたい」や「〜したい」がある。でも、何か原因があって、それをうまく出せない人もいる。「聴く」ことで、その人の「よくなりたい」や「〜したい」を引き出していくことも、少しはできるのではないかな、と思います。聴き手と話し手を交互にやると、さらに良さそう。それが、「人の力を信じて待つ、というあり方で聴き合う」ということ。今のところの僕の現在地です。

タイトルとURLをコピーしました