数学と社会の授業を組み合わせると?

特別支援
最近好きなお店のソフトクリームとコーヒーゼリーの組み合わせ。

怒涛のミーティング週間を終えて、ほっと一息中。「新1年生の様子も見ながら、時間割を確定しよう」ということで、時間割はまだ未確定だけれども、僕は特別支援学級の社会・国語・数学・作業学習・書写のメインを担当することは決まっているので、2023年10月に実施した数学の単元「パーティーを計画しよう!」を振り返りながら、今年度のチャレンジを描いておきたい。

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単元をつくったきっかけ

1学期、生徒の実態がよくわからず「計算トレーニングをひたすらする」という数学の授業に違和感を持ちながら続けてしまっていた。こんなに100マス計算ばかりしていていいのか?いや、計算はできるに越したことはないんだけど・・・、という感じです。みんなで数学のクイズを解く時間もあったけど、生徒の特性にはうまく合わず苦戦する日々が続いた。僕も数学の時間が楽しくなかったし、生徒も数学の時間が楽しそうではなかった。

生徒たちや家庭との、日々のやりとりで、「一人で買い物にいったことがない、買い物をすると緊張してしまうけれども、チャレンジしたい」という生徒が何人もいることがわかってきた。少しでも学校の中でいろいろな小さなチャレンジをして、練習をして、実社会で「できた!」を積み重ねていってほしい。さて、それを数学でやったら、どうだろう?

この単元の設計を、数学で考えると専門外の僕には難しく、あまりワクワクもしない。自分が楽しくないと、いい授業にはならない。自分の専門である社会科と組み合わせば、いい授業になるかも?ということで、消費者としての学習も兼ねた授業にした。

あとは、他の人のよさや自分のよさに気づけるような授業の経験であってほしいという願いがあるので、そのきっかけとして、なにかアウトプットをして、生徒間で交流することができるようにしたかった。

授業の実際(単元計画も)

授業のプランは、だいたい12時間。

コマ     タイトル            学習内容
レシートを読み取ろう・基本的なレシートの読み方を知る
・レシートを読み取る練習をする
・この後の11時間の授業の見通しを伝える
レシートを読みとろう2・生徒や教員が持ってきたレシートを読み取ってみる
お小遣い帳を書こう・収入や支出を知る
・実際に買い物をして、レシートをもらったという設定で、
 購入したものを、こづかい帳に書いてみよう。
割引の計算をしてみよう・どんな時に、割引ってされるの?
・割引の計算(電卓)
マクドナルドで買ってみよう・マクドナルドで、自分で選んで店員さんに注文してみよう。
(ロールプレイ)


チラシを読んで買ってみよう・チラシの読み方
・チラシで欲しいものを選んでみよう。

10
11
パーティを計画しよう・設定されたおこづかいの金額内で、パーティを計画しよう。
・チラシを切り取って、パーティの食事などを考えよう。
12みんなで発表しよう・どんなパーティにしたいの?
・どんなもの買ったの?/なんで買ったの?
・フィードバック
レシートの読み取り
おこづかい帳の練習
パーティを考える。裏面にチラシと発表原稿

エピソード1 「レシート集めにはまっちゃう」

1コマめの授業が楽しかったようで、レシートを読むことが面白くなり、保護者にお願いして家のレシートを集めそれを計算に使うことが好きになった生徒がいた。しばらくして、レシートブームは去ってしまうのだけれども、ただ、この授業をきっかけに、土日にお買い物にいって一人で注文するのをチャレンジできるようになったということがわかりすごく嬉しかった。

エピソード2 「カップ麺の背徳感」

最後の発表の時間に、どんなものを買ったのか、なぜ買ったのか、ということをそれぞれ発表した。

例えば、「食後にデザートパーティーをしたくて、ソフトクリームを買いました」「まぐろをこのグループのみんなと食べれたらなと思いました」「グループのみんながシチューを飲んで元気になれたらな」「お母さんが元気ないときに、シチューをつくってくれるから」というような発表内容だった。結構、一緒に学んできた仲間のことを考えている優しさあふれる発表がいい。

そんな中、「カップ麺、夜中に背徳感を味わいたい」と、発表した生徒がいて、(え?パーティーを計画してと、言ったのに、カップ麺だけ?? もっと違うものを買ってもらわなきゃ!)と、いう「ちゃんとしなきゃモード」の僕が、あとちょっとでで出てきそうになった。他の生徒から「背徳感って何?」という質問が出て、それに発表生徒が「隠れて悪いことをするってことだよ」と答え、「あー、その気持ちわかるーーー」「(一同)大爆笑」という流れが生まれた。僕が「ちゃんと」していたら、「背徳感」っていう言葉や、みんなで笑ったこの時間はなかっただろうな。

ふりかえり

  • 計算の練習をずっとしているよりも、それぞれの生徒の良さもでていて、発表を作るプロセスや発表を通じて生徒のことも知ることができて、この授業は楽しかったな。ただ、どの授業でも、僕が丁寧にモデルを示す必要があったかなと思う。今年度は解消されたけど、昨年度はかなり離れた教室まで移動しなければならないこともあって、実質35分くらいしか授業時間を確保できなくて、活動時間を確保したいために、その部分が雑になってしまった。それでモデルがないことで、何をやったらいいか分からずに、固まってしまう生徒もいて、つきっきりで個別に対応する必要があり、他の生徒にカンファランスをする機会が減ってしまった。生徒がチャレンジすることの、ハードルを下げる意味でも、なにかちょっとしたモデルを示したほうがよかったと思う。
  • これからも「数学×◯◯」で、単元を設計していく。◯◯の部分には、「実生活」という切り口でいけば、社会科教師の僕は単元を設計しやすい。そして、この単元が生まれたのは、数学が専門の同僚に相談したおかげでもあるので、他にどんな単元が可能なのかを相談して、つくっていきたい。できれば1年に3〜4単元はこのスタイルで数学をやってみたいな。それで周りと関わっていくことや、ああ自分っていいなぁと生徒が思えるような時間をつくっていけたらいいと思う。
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