どんな授業を一緒につくろうか?(1学期国語)

特別支援
鴨川での移動教室でつくった太巻き祭り寿司

今年度は、中学校の特別支援学級1年生の担任。授業のT1(メイン担当)は、国語と数学の授業だ。中1〜3年をまぜて、6クラスにわけ、そのうちの1クラス(6名)を担当している。T2(サブ担当)は、社会、音楽、生活単元学習。総合や道徳、学活は持ち回りでT1。体育は、プールの授業は1グループを担当。この記事では、2023年1学期の国語で実践したことと、2学期以降に向けての振り返りを書き留めておきたい。

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どのように生徒たちの学びの全体像を考えたらいいのだろう?

いわゆる、教科書は担当する生徒たちには合わない。「星本(ほしぼん)」と、呼ばれる特別支援学級や学校で使われる教科書も、いくつか読んだけれども、同じく担当する生徒たちには合わない。どんな授業をしていったら、いいか?赴任してからの春休み期間は、悩みに悩んでいた。そもそも、赴任したての学校で、かつ、特別支援学級の担任が初めてなので、今までこの学級が目指してきたことを同僚に聞くところから始めた。共通していたのは、「日常生活に役立つために、語彙を増やす」「就労するときに役立つこと学ぶ」という言葉。あとは「実際に、子供たちに会ってから、考えてみてはどうだろう?」ということだった。就労や、日常生活に役立つことも大事だろうけど、「仲間と一緒に学ぶ楽しさ」や「本を読むことを大人になっても楽しんでほしい」ということも、僕は大切にしようと思う。国語の授業だけでなく、他の教科も含めて、生徒達が仲間と一緒に学ぶことで「自由」になっていくということ。特に「助けて」が言えない生徒も多いので、助け合ったり、お互いをケアをしたりすることの大切さを学校で学んでほしいと感じた、4月のスタートだった。

大きな目的に近づくために、各教科でどんな単元を
どんな目的で設定するかの雑多なメモ

まずは、どんな授業をしたいか、生徒に聞くというところから始めた。

アンケートをやってみたものに、生徒の実態を把握するにはなかなか難しかった。「俳句を書きたい」「新聞記者ゲームやりたい」などと書いてあって、少し生徒に直接インタビューしてみると「前にやったことがあって楽しかったから」ということだった。もっと個別に面談をするような1on1の時間をどう確保していくかがこれからの課題でもある。

特徴的だったことは、漢字に対する情熱を持っている生徒がとても多かったこと。漢字は、分かりやすく自分が成長している実感が強いからだろうか。中2年生以上の生徒には、毎朝漢検の問題集を先生に提出している子もいる。目安として、7〜8級が3〜4年生レベルで、小学校卒業レベルで、4級あたりまでなので、このあたりを目標に設定するといいのかな。

あとはアンケート以外にも、「小学校の要録」「就学相談時のファイル」をじっくり読んだり、「二者面談で保護者の願いを聞く時間30〜60分」で、たっぷり聞いたり、たくさんの情報を集めて授業を考えていた。

高校の適性検査の過去問も参考にした。(都立特別支援学校適性検査

そんなこんなで、授業の流れは

絵本→漢字読みと書き(小3〜4年レベル)→単元→Googleクラスルームを使った振り返り

をベースに進めていった。1学期の単元は、「ホワイトボード・ミーティング®」「ニュースの読み取り」「うそ日記を書いてみる」の3つの単元。

色々な活動が早く終わってしまった人のために、プリントを準備するのは、ポケットファイルでアナログでプリントを管理。教室に棚を置いて生徒が自分で教材を選べるようにするのは今後の課題。

毎時間、生徒の様子を見ながら、プリントの準備は手探りが続いた

実践あれこれ

(1)ホワイトボード・ミーティング®

最初の1ヶ月、まずはグループでのやり取りを増やしていきたいと考えて、こちらの単元。管理職が、授業を見学しに来る日も分かっていたので、そのときに生徒たちへのフィードバックをもらうことも意識しての授業づくり。せいこさんの本は、どれも素敵なんだけれども、今回参考にしたのは、こちらの本。

ちょんせいこの ホワイトボード・ミーティング: クラスが落ち着く!! 低学年にも効果抜群 (教育技術MOOK)

好きなものを書く→しりとり→質問の技→インタビューと発表

という流れで、一人ひとりの他己紹介を行なった。授業の進め方の詳細は、上の掲載した本などを参考に。

管理職の先生たちも、びっくりするぐらい、ミニホワイトボードに生徒たちが書くようになっている。いきなり話すことが苦手な子達が多いので、話す前に、いったんホワイトボードに書くことで、ハードルが下がる。やはりミニホワイトボードはいいなぁ。この単元の後も、2分でもいいから継続してみにホワイトボードも使う。練習すれば、できるようになる。

久々のチョーク。他の教室は、ホワイトボードなのに、この教室だけ黒板。

(2)ニュースの読み取り

ニュースに興味がある生徒がいること、そして僕自身が来年度の社会科の授業を計画したいということ思いから、ニュースを活用して「5W1H」を教える授業を行なった。朝日新聞の「新聞読んだよシート」をさまざまにアレンジしながら、音読・読み取ること・話し合うことに取り組んだ。

ただ、これは、いろいろな問題に直面。簡単な語彙のニュースを選ぼうとすると、「動物園に⚪︎⚪︎の赤ちゃんが生まれました」のようなニュースばかりになってしまうし、それよりも難しいのを選ぶと、格段に言葉が難しくなってしまい、一つひとつの言葉の意味を確認するだけで、膨大な時間がかかってしまった。辞書や、Googleで意味を調べた子もいたけど、その辞書やGoogle先生の言っている言葉も、また難しい。あとは、そりゃそうなのかもしれないけれども、ニュースに接している人と、そうでない人の差は、今まで出会った生徒の中でも差を大きく感じた。僕にとっては、来年度の社会科をどうやっていくかを考えるいいきっかけにはなったかな、ということでひとまずは前向きに考えておくことにする。

「新聞読んだよシート」 リンクは、下記に。

(3)ウソ日記

生徒は、日々、「日課帳」といって学校と家庭での出来事を書いている。また、行事の度に、作文を書いて発表するという活動があるので、「書く」という時間は、それなりに確保されている。ただ、それがどういう力をつけているのかは、ちゃんと考えた方がいいなと思っている。「作文はこう書かねばならぬ」みたいな意識が生徒にもあって、どうにもこうにも決まった形の作文になってしまう。日課帳も作文も基本的には、生徒と教師の間だけでのコミュニケーションが中心なので、もったいない。仲間の良いところであったり、一緒に学ぶことの良さを、国語の授業でも体験してもらいたい。そこで「ウソ日記」を書くという「作家の時間」のような取り組みを始めた。インフルエンザによる学級閉鎖や行事の関係もあって、5時間ほどしか取れなかった単元になってしまったけど、家でも続きをGoogleドキュメントに書いていたり、前に出て発表する人が多くて、時間が過ぎてしまったり、なかなか充実していた時間。

ある生徒が、とてもスリリングな展開の日記を書いてきて、みんなを驚かせてやろうという気持ちいっぱいで、ニッコニコで発表した。「お〜、よくこんな話を考えたね〜!ドキドキしたよ。すごいすごい!」と、上級生からフィードバックをもらって、本当に嬉しそうだったな。こういう仲間同士の関わりをもっと増やしていきたい。

正直、丁寧なインストラクションもあまりしないで、勢いで始めた(勢い大事だけど)ので、夏休みには改めて、こちらを読んで2学期の実践を考えたい。『増補版 作家の時間: 「書く」ことが好きになる教え方・学び方【実践編

2学期の国語、どうしたい?

いろいろ考えることはあるけど、まずは次の2つだろう

  • 「学校って何のためにあるんだっけ」に立ち戻る。担当している人数が少ないこともあって一人ひとりの個別の課題を丁寧に準備して、個別に指導しようと思えばできる。今度書くけど、数学の時間は、あまりに力に差がある単元もあって、つい個別の時間を増やしてしまった。個別の時間が増えたら、その分、一人ひとりをカンファランスする時間が増えるかと思いきや、一人にかかる時間が、想像以上に長かった。なので、一人につきっきりで、他の生徒は極端にいうと、訓練の時間みたいになってしまった。楽しいっていうより、淡々とこなしているかんじ。みんなで学ぶって楽しいよな、っていう経験が全然足りてない。その中で、自分の良さを発見したり、一緒に学ぶことで仲間の良さを発見することを、この生徒たちには、もっともっと経験していってもらいたい。
  • 遊びながらコミュニケーションをとる時間をもっと作りたいな。ちょっと離れた校舎の教室を使っているため、移動時間を含むと、授業の時間が5〜10分短くなってしまうという環境なので、ついついあれもこれもやろうとしてしまう。「かたろーぐ」で、遊びながらコミュニケーションをとっているときは、「質問の技」の復習にもなりつつ、とても楽しそうだったなぁ。別に国語の授業の中でなくてもいいのだけど、意図的に、こういう時間を確保していきたい。

活用したサイト

<どの教科でも>

<ニュースの読み取り>

1学期の絵本リスト

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