『シンプルな方法で学校は変わる』と『「学校」をつくり直す』を並行して読むこと

読書

すごく苦手な本の感想を書きます。

久しぶりに、この本を開いた。

効果10倍の(学び)の技法 シンプルな方法で学校が変わる! (PHP新書)

効果10倍の(学び)の技法 シンプルな方法で学校が変わる! (PHP新書)

 

発売された当初は、ちょうど教員生活1年目の頃で、二人の著者も全く初耳だったのを覚えています。

 その増補改訂版が発売されたということで、当時の僕はどういうことを考えて2007年に読んでいたかを思い出しながら、本棚から取り出してパラパラとめくっていました。

すると、いきなり12年前の自分の衝撃的なメモを発見!!

ここに書いてあることは、管理職になればできるなぁ

 と書かれていました・・・。それ以外の書き込み、特になし!思わず、タイムマシンがあれば、過去の僕にチョップをしたい気持ちになりました。

増補改訂版には、「パート2 なかなか変わらない学校をどう変える?」という部分が大幅に加筆されています。その「第9章 変わるのに必要な七つの方法」に、こんな項目がありました。(p.294〜)

1 教師は、子供のために学校を変えられる存在は自分たちしかいないという主役意識をもつー教師の変化

まず確実に言えることは、他の誰も学校をよくしてくれないという歴然とした事実です。(中略)要するに、自分たちしかいないという明快な事実です。自分たちこそが主役意識を持たない限りは、悪くなりこそすれ、よくなることは期待できないことを肝に命じることです。

まさしく、12年前の自分には、主役意識はなく、「管理職になればできる」と思っていました。この本には確かに「いや、シンプルな方法、って書いてあるけど、そんなにシンプルじゃないじゃん。結構難しいよ・・・」って、高い壁を感じてしまう実践も紹介されているとも思います。

でも、今の自分なら、「管理職になればできる」とは言わずに、「お、こんな方法もあるのか!やってみよう!」と思うものがたくさん紹介されていました。

この12年間で、僕にどんな変化が起こったのか?それは、ざっくり言うと「学んだことをチャレンジして、失敗しても、またチャレンジする」ということを仲間と一緒にできた経験があったからです。校外の仲間とも、校内の仲間とも。最初は、校内の仲間と連携して何かの実践に取り組んでお互いフィードバックするということは苦手でした。たぶん、教員なりたての僕は職場の仲間に対して信頼していなかったのだと思います。「自分は外に出て勉強会に出ている。職場の人はそうではないから、自分が学んできたことを紹介しても、きっと理解してもらえない。だから、一人で頑張るしかない」と。タイムマシンで、過去の自分にドロップキックをあたえたい。そういうふうに、生徒へも、職場の仲間へも信頼がない時代がありました。

ところが、教員3年目から生徒の頃を信頼するようになり、職場の仲間とも一緒にチャレンジをするようになると、じわじわとですが、確実に変化が起こっていきました。

だから、この『シンプルな方法で学校は変わる』は、一人で読むのではなくて、校内研修や学校内で数人のプロジェクトチームを立ち上げて、いくつかの方法を実践して学び合うときに、効果を発揮するのかなぁと思っています。僕だったら「管理職にならないとできない」じゃなくて、「この方法、何人かの先生を巻き込んでやってみたいなぁ」とか「ブッククラブを開いて、それぞれの気になるところを実践して持ち寄ってみよう」みたいなことを、職場でやるなぁと思います。

さて、並行してこの2日間で読んでいたのは、こちらの本。

「学校」をつくり直す (河出新書)

「学校」をつくり直す (河出新書)

 

 前掲した本が実践メインとしたら、こちらの本は理論メインかな、と思って読んでいました。著者の苫野さんは、『教育の力』で述べたことよりも、さらに突っ込んで、様々な実践も紹介されているので、必ずしも理論メインという訳でもないのです。

おそらく、『教育の力』に出版以降、「それは理想論だよね」のような類の、著者に対する様々な批判的な意見もあったことが本書からは伺えました。ただ、その批判に対して、ものすごい切れ味鋭く意見を述べている苫野さんの姿が思い浮かべることができる本書でした。何よりも、読んでいて勇気をもらえました。シンプルな方法で学校は変わるんだ、というか、変えていかなきゃいけないんだという様々な実践や理論の提案に、ワクワクしました。

そう思いながら読んでいたら、「第5章わたしたちに何ができるか?」に、このような言葉がありました。(p.239)

不安や恐怖の共有は、改革当初に必要だし重要なことです。危機意識のないところ、そもそも改革など起こるはずがありません。

でも、改革は、ある時期から、もっと「ワクワク」ベースに変えていく必要がある。わたしはそう思います。

「ワクワク」ベース。いい言葉だなぁと思います。僕は、これが欠けると一気にエネルギーが枯渇して体調が悪くなる・・・。

現在、教員を目指す学生が不足してきているというニュースを聞きますが、

教師という仕事は、「ワクワク」することができる素敵な仕事だと、僕は思います。

子どもたちや同僚と一緒にチャレンジをして、みんなで学んだことや、成長を喜び合える。子どもたちの持っている力にワクワクする。そんな学校だからこそ、危機感や不安や、恐怖で何とか改革していこうとするのではなく、「ワクワク」ベースで、変えていきたいなぁと思います。きっと、できるはず。下記の小金井三小の研究発表会をみたときに、「ワクワク」ベースを感じました。

iwasen.hatenablog.com

僕自身も、この3学期に徹底的にやってみたPBLでの子どもたちの姿や、「こうきたか!!」という思いがけない発想にはワクワクしっぱなしで、月曜に学校に行って、授業をするのが楽しみでしょうがなかったのです。ワクワクするからこそ、次にこうしてみようかな、ああしてみようかな、っていうアイデアもわいてきました。

そして、そういう姿を教師自身が子どもたちに見せることって大事なんだと思います。

僕が教員を目指したきっかけになった、小学校4年生の担任だったN先生のことは、今となっては、とにかく先生自身が一番楽しそうだった、ということしか覚えていません。でも、それが今でも僕にとっての大きな財産になっています。

今回、紹介した2冊の本。

こうして、並行して読むと、なんだかいいなぁと思いました。

主役意識、ワクワク、このキーワードが今後の僕にとって大切になるなぁと思っています。

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