PBLとSDGs⑤発表その1

社会科・探究学習

(1)14時間目 発表その1

① 授業者のふりかえり

私が学生時代にお世話になったフェアトレードの店長さんに電話で突撃インタビューしたMの発表を聞いた。1年生の時に私のクラスの生徒で、家庭訪問をしたときに、小学校時代からずっと書いてきた漫画を見せてくれたことがある。ダンスもしていたり、そういう表現力が豊かな生徒だけれども、普段の授業での発表とかはどちらかというと控えめだったので、今日の彼女の発表は、殻を破ってて面白かった。自作のフェアトレードを説明する絵本を読みながら、妖精さんが登場するところは、裏声という表現方法を使った。すごく緊張して、顔が真っ赤だった。今までしたことない取材をしたという経験や、すごくのめり込んで絵本を作っていて楽しそうだったからこそ、出てきた「裏声」だったんじゃないかな、って思った。

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そのあとは、Hの発表。ボードゲーム。ものすごい人だかりで、うまく発表が聞こえなかったけど、とにかく楽しんでた。準備のために朝の3時半まで取り組んでしまったそうだ。彼は2年生の時に、私のクラスの生徒で、オニミチやら、スコットランドヤードをずっとやっていた生徒。うちの学校はトランプ禁止なんだけれども、シャベリカでトランプしていて叱られ、抜け道として、トランプを自作した。さらに、色々なクラスメイトが登場するカードゲームを作り、休み時間がずっと楽しそうだった少年。遊び心満載なんだけど、決してふざけているわけではなく、ボードゲームの1マス1マスにきちんと、理科や社会の知識を彼なりに入れていて、教科横断ボードゲームだった。このクラスでは、これからあと卒業までに4回しかない昼休みに、このボードゲーム大会が開かれるらしい(笑)

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Yくん。いつも帰りの会の係委員会の連絡で、一発ギャグを言ってみんなを笑わせて下校というツワモノ。パワーポイントを使いながら、SDGsについて取り組んでいる芸能人を紹介するという発表だった。ふざけた感じの中にも、自分が取り組んでいるSDGsもさりげなく紹介したり、すごいテンポのいい発表だった。1学期に実施していた平和プロジェクトでは彼はミニ映画を撮影して、その主演をしていた。ほとんど教室にいなくて、昇降口とかピロティーで、「アクション!」とか言いながら、動画を撮っていて、気づいたら大作ができていた。

Pくん。ひたすらにゲームを作り、それを大画面に映しながら、ただそれをクリアするという発表。Youtubeで流れているようなゲームの実況中継みたいな。ただ、今の子供たちは、そういう実況中継を見慣れているから、すごく集中してみていた。ところどころ、食料問題と絡めて、「ここの道は通れないようで、実は通れる。可能性を信じよう」みたいなことをボソボソ言う。そこポイントだろー!もっと大きな声で言おうぜ!って思うんだけど、聞こえない。

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それでも、このクラス子達は、彼がボソボソいう子だってわかっているから集中して聞いていて、「おー!すげえ。なるほどなぁ」って声も出ていた。

M の全体プレゼン。出だしが、「ある団体に質問に答えてもらいたくて、メールを送ったんですけど、返ったこなかったので、発表内容を変更しました。私の仮説の話をします」という、みんなも「え?」となった展開。ただ、総合の時間でもLGBTの探究をして、トータルで3ヶ月ほど調べていたから、彼女なりに伝えたいことがたくさんあったんだと思う。彼女にこの中学校3年間で一番学んだことってなんだった?って聞いたら、「人間関係。いろんな人がいるということ」だった。だから、いろんな人がいていいんだ、ということを考えていくうちに、差別されているLGBTのことが気になったんだと思う。

自分の仮説をマッピングで表現してのスピーチだった。

彼女の発表の様子を職員室で紹介したら、みんな驚愕の表情だったし、発表を聞きに来てくれた先生たちも感動していた。それほどまで、彼女の成長は、この3ヶ月はすごかった。これは、定期テストではわからないな。

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Kのフェアトレード取材報告。
いつもボソボソ喋るのに、ものすごくあつい語りで唾を飛ばしていた。
パワーポイントにも初挑戦。ひたすら喋った後、他の人の発表を聞かないで、ベンチで、疲れ果ててぼーっとして座っていた。やりきったー!!という充実感が感じられた。この後、彼はどんなチャレンジをする高校生になっていくのかな?

ザーッと書いてみて、
想像以上に、学びに没頭している子が多かったなぁとも思う反面、もっとこうすればよかったー!!ということも、ものすごく多い。

参観者から、のちのふり帰りの会で指摘されたように、単なる調べ学習になってしまった子がいた。探究の持久力のようなものがついていないのかな、と思いながらも、よーく考えてみると、その子は、ひたすらに困っていたように思う。
ずっとフリーハグの動画をみて、「先生!私、これを渋谷でやるプロジェクトにする!これで、日中関係をよくするんだ!」といい、他の生徒にやめとけ、危険だよ!と止められて困ってた。
学校のPCは、知りたいことがブロックされて見つからない。と言って困ってた。
何がやりたいかわからなくなった、と言って困ってた。
僕も、どうやって手助けをしたらいいか、この学校の環境でできることを色々考えてみようと思ったんだけど、困った。彼女のやりたいことが、うまくできる環境になっていないことを、申し訳なくも感じた。

子どもたちが、探究できる環境、ってどういう環境だろう?
プレイワークの研修でも同じような問いが、僕の中には出てきた。

いつでも、探究のための道具が使えるようにしておくことは必要そうだ。この「道具」の中には、パソコン環境やスキルなども入る気がする。あとは、子どもの創造性をくすぐるような材料とか、廃材とか。

そしていつでも、探究のための道具を選べるようにしておくことも大切だろう。

「選べる」ためには、その道具を選択肢として使えるぐらいのスキルの練習だって、ある程度必要だ。探究のスキルを使えている子、まだまだ練習の必要な子。そりゃ、差はあるけど、今回、十分な練習時間をとったかどうかも怪しい?

そして、そもそも探究のスキルってなんだ?ということも、モヤモヤしている。

次が最後の発表になる。 

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